2014年7月18日金曜日

DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門

オンライン広告の歴史の中でDSP(Demand Side Platformつまり広告主側のプラットフォーム)とは広告主が広告を出稿するにあたって「枠」つまり一定の読者層をターゲットにした特定のサイトに対して一律的な広告を出稿するのでなく、サイトにアクセスしてきたユーザの属性をセグメント分けしてピンポイントに広告を出稿するための手法である。この意味で広告を示す言葉のコミュニケーションはDSP時代において本来の消費者とのコミュニケーション媒体となることができつつあるのかもしれない。

DSP以前の広告において、広告主は「枠」の持ち主、つまりポータルサイトの自己申告による読者属性を「信じて」広告出稿を行うほかは無かった。一方でDSPにおいてはクッキー技術をベースにしたユーザのセグメント分けをDSPプラットフォームが行っており、そこに対して広告出稿を行う。RTBはユーザの1インプレッション(PV)ごとに対して最適な広告のマッチングを行うための仕組みであり、これは計算機の能力が近年において大きく向上したことを根拠とするものである。

DSP/SSPやRTBといった仕組みの進化はリーマンショック以降に金融分野のエンジニアが大量にIT分野に移ったことで引き起こされた。これはまさに金融工学の考えがネット広告に持ち込まれたものであり、リアルタイムに入札と応札が行われて出稿単価が決まるその仕組みは株取引に近い考え方と言える。この最適化の仕組みは各プラットフォームがそれぞれ独自の手法を用いて行っているものであり(何が「最適な広告」かという評価軸も異なる)本書ではその内容も垣間見ることができる。また、RTB/DSP/SSP/DMPといった最新のアドネットワーク技術に至るネット広告の進化の歴史も俯瞰して知ることができる。

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